1%の富裕層が世界の富の50%を保有
「1%の富裕層が世界の富の50%を保有」という事実から「正社員をなくしましょう」竹中平蔵発言までをつなげて考えてみる。
1%の富裕層が世界の富の50%を保有
CNN.co.jp : 1%の富裕層、世界の富の半分を保有へ
富裕層とはどの程度資産を有する人達かというと、1億円以上の資産を有する人達のことで、お金持ちに生まれなくとも何かで一山あてれば十分に仲間入りは可能である。
アメリカでの貧富の差の拡大の過程
アメリカでの貧富の差の拡大の過程では以下のような現象がみられている。
1.技術進歩にともなう中間層の没落
2.経営幹部給与の増大
3.不完全な所得税制の補完機能
4.安い労働力との競争
ここ数十年一貫して、技術進歩にともなう生産性の向上により、中間層が従事していた職種が減少している。結果、景気がよくなっても雇用は大きくは増えないという現象がおきている。機械化や海外の安い労働力との競争にさらされ、中間層および低所得層の所得は伸びないのにたいし、一握りの経営幹部は大きく伸びている。富の再分配機能を果たす税制は90年以降、富裕層に対してのより高い税率が課されているにも関わらず、税引き前所得差の拡大を補完しきれていない状況にある。
http://www.rice.or.jp/archive/pdf/2005/2006-8.pdf
一次的な格差の拡大はやむをえないのか
技術やシステムの進歩により、管理や現場のオペレーションが容易となり、価値が下がっていき、組織のパフォーマンスに対する影響が少なくなっている反面、一握りのコントロールする側の価値が高まっている。富の創出に、より貢献している一握りのコントロールする側に多くの富が流入していくことは、ある意味公平で当然の成り行きである。企業は永続的に生存競争を続けていく必要があり、不要な中間層を多く抱えるようなことは難しいので、今後も一次的には給与格差の拡大という構造はかわらないと思われる。
しかし富の偏在と格差の固定化が、社会を不安定化し、社会全体の成長に悪影響を及ぼすことに間違いはないので、高所得層には必要コストと割り切ってもらい、税制による所得の再分配による二次的な調整を進めていくことは必要であると思われる
正社員をなくしましょう
契約社員を正社員にしていくということは、中間層を拡大していくということなので、今まで述べてきた理由から、実現も難しいし例え実現できたとして維持できるのだろうかと思う。そのようなことができる会社があるとすると、成長が見込まれ将来的に中間層を多く必要とする会社くらいなのではないだろうか?
他の誰かで替えのきく仕事・機械や海外の安い労働力と競争になるような仕事に身を置かないようにすることが重要なんではなかろうかと思う。
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